いきものがかり × プリキュア
スペシャル対談
いきものがかり × プリキュア
スペシャル対談
2023.11.22
――まず、20周年という節目を迎えた『プリキュア』シリーズとコラボレーションすることが決まった際のお気持ちを教えてください。
吉岡:
『プリキュア』シリーズは、ずっしりとした歴史がある作品なので、ありがたみを感じつつ「なぜ、いきものがかりにお話をいただけたんだろう……?」と思いました。
もちろんすごく光栄でしたが、重みのあるシリーズですから、大丈夫なのかなという気持ちもあったんです。
でも、うちのリーダー(水野良樹さん)もスタッフの皆さんも、そして鷲尾天さんもいろいろと話を積み重ねて、『プリキュア』というシリーズの内容がしっかり反映された曲を作ってくれたので、歌う側の私としてはその思いをストレートに伝えたいという気持ちでしたね。あとは、とにかく20周年を盛り上げられればと思っていました。
――三瓶さんは、『プリキュア』シリーズといきものがかりがコラボをすると聞いて、まずどんな気持ちになりましたか??
三瓶:
正直なところ、人ごとのように「わぁ、すごい!」と思いました。
自分が青春時代に聞いてきたアーティストさんに歌ってもらえることにまず感激をして、とにかくどんな雰囲気の曲になるのかが楽しみでした。吉岡さんの歌声も、いきものがかりさんの曲も、ストレートに思いが伝わる歌なので、お客さんのひとりとして完成を楽しみに待っていました。
でも、今、吉岡さんのお話をうかがって、『プリキュア』がいきものがかりさんに緊張感を持ってもらえるぐらいの作品になっているんだなと感じて、感動しています。
――吉岡さんは『プリキュア』という作品には、どんなイメージを持っていましたか?
吉岡:
自分の中で印象的だったのは、以前親戚の子と一緒に公園で遊んだとき、遊具の上でプリキュアの決め技を叫んでいたことです。その子はずっとプリキュアが好きだったと言っていたんですね。
最近だと、いきものがかりが『プリキュア』の主題歌を担当することが決まって、小学1年生の子がその話題にすごく食いついてきましたし、4歳くらいの知り合いの男の子もプリキュアが好きでCDをあげたら熱心に聞いてくれて。『プリキュア』シリーズは世代を超えてみんなを熱狂させる、キラキラした憧れの存在なんだろうと感じました。
「キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~」は大人が真剣に見られるストーリーになっていて、みんなを虜にしているなと実感しています。
――三瓶さんは、実際に完成した「ときめき」や「うれしくて」を聞いてみて、いかがでしたか?
三瓶:
何回聞いても泣けちゃいます。
「ときめき」は20周年の記念PVや「キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~」の映像と一緒に聞くと、すごく壮大でありつつキャラクターや見る人に寄り添ってくれる近さもあるんですよね。そして、どんな場面で聞いていても耳にスッと入ってきてくれる。
「うれしくて」ならお子さんたちが見た後に口ずさんでくれたらうれしいですし、「ときめき」なら「キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~」を見た後に、大人の方が友達とカラオケで歌ってくれたらいいなと思います。
――「ときめき」も「うれしくて」も、どこか不思議なプリキュアっぽさを感じますよね。
三瓶:
聞いた方が皆さんそう言ってくださるので、きっと言葉にはできないけれど、みんなが感じるものがあるんだろうと思うんです。
もともとプリキュアって“プリティでキュアキュア”って正確に言葉で表現できない不思議な感じもあって。言葉で説明できないけれど、かわいさと強さを持っている感じがする。
中学生ののぞみって子ども特有の恐れを知らない強さや、自分が間違っていると思うからとか、悲しんでいる人がいるから、みたいな理由で戦うんですね。深い理由や理屈は必要なく、勢いやパッションで動いている。少年少女ゆえの強さって絶対にあると思っていて、それがきっとプリキュアっぽさだと思うし、いきものがかりさんの歌にそれを感じられるということは、みんなが作ってきたものがちゃんといろいろな人に届く形になっているし、それを拾って歌にしてもらえたんだなと感じました。
吉岡:
私としては、それぞれの曲に対して向き合うことをまず考えました。
「うれしくて」で言えば「うれしくて きらきら 飛びあがれ ひらひら」は本当にそう感じていることが伝わればいいなという気持ちでしたし、混じりっけのないピュアさやまっすぐさを感じながら歌ったので、三瓶さんが「プリキュアっぽさ」があると言ってくださっているのを聞いて、ちゃんと繋げていけているんだなと安心しました。プリキュアって、無邪気さの中に孤独や傷もあるけれど、それでも前を向いていくというイメージなんですよね。
「ときめき」に関しては、自分自身を肯定する強さのある歌なので、自分で幸せになると決めている、そのポジティブな強さが感じられて、歌っていても幸せな気持ちになれるんです。それが明るく伝わればいいなという思いを込めました。
――いきものがかりは数々のタイアップ曲を歌っていますが、ノンタイアップとタイアップの曲とで、歌う際の気持ちに違いはありますか?
吉岡:
今回リーダーがプリキュアについて、スタッフさんと一緒にディスカッションをしてくれていましたし、思いをすごく入れてくれていることはわかっていたので、私はシンプルにクセを付けずに歌えばいいかなという気持ちだったんですね。
1曲単位で、この曲のストーリーをいかにピュアに伝えるかを考えていますし、「うれしくて」も「ときめき」もピュア感がとても強い曲だったので、その思いを伝えられたらという気持ちでしたね。
でも、それはノンタイアップでも同じな気がするので、それほど違いは考えていませんね。
三瓶:
結成して24年経つ中で、今もそのピュアさを持って歌い続けられるところが素敵ですね。
私が、ずっとドリームだけを演じていたら、置いて行かれないように必死になっちゃうと思うんです(笑)。ドリーム、のぞみはとにかくずっと元気ですし、「キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~」でも変身した後は演じている私のエネルギーをごっそりと持っていっちゃうような子なんです。
でも、セリフはそれほど長いものでもないですし、私はその瞬間に集中することが多いので、吉岡さんが1曲を歌いきる数分間、ずっときらきらとしていられるパワーはすごいなと思って。どう保っているのかがすごく気になっています。
吉岡:
ほかの取材でも三瓶さんが「のぞみちゃんになる前からのぞみモードに入っている」とおっしゃっていたので、私はたぶん1曲を歌うモードになっていて、そのモードに入る感じが好きなんだと思います。だから、実は歌っているときはあまり歌った感がなく、家に帰ってから「今日はいっぱい歌ったな~」と思うことも多くて(笑)。レコーディングでもあとから気づいたらすごく歌っていたなって抜け殻状態になるんですよ。
三瓶:
リミッターなどなく全部を出し切ってくださるから、聞く側も曲に入り込めるのかもしれませんね。
吉岡:
でも三瓶さんも、役柄に入るときはすごく集中されますよね?
三瓶:
私はその瞬間だけをずっと生きている感じですね。アフレコではテイクを重ねることもありますが、お仕事と関係のないところでもう1回演じてみてって言われるとたぶんできないんです。もともと同じことを繰り返すのが苦手ということもありますが。
吉岡:
声優さんもいろんな方がいらっしゃるんですね。
私は、三瓶さんのお話を聞いていて、役を演じるときに「生きる」という言葉が出てくるのが印象的で。生きるからこそ、見る人たちを惹きつけるのかなと感じたんですね。魂がそのまま伝わってくるから、作品のよさにつながっているんでしょうね。感動です。
――声優さんは、1日に何役も演じることもありますよね。
三瓶:
そうですね。体力や精神力を持っていかれる大変さはありますが、でもやっぱり好きなことなのでつらさはないんですよ。
つらいと感じることがあるのは、キャラクターがつらい状況に合っているとき。最近だと、1話の中で3回くらい違う理由で泣いていたときは、気持ちを作るのがつらかったです(笑)。
でも、いつ演じても新鮮な体験ができますし、いつも新しい挑戦ができるので、やっぱりお芝居は楽しいですね。
吉岡:
私は1日に3つの命を使ったことがないので……。
三瓶:
でも、ライブって1日に何十曲も歌いますよね。それだけ集中力とエネルギーを使っていたら、翌日灰になるんじゃないかと思っちゃいます。
吉岡:
なっているときもありますよ(笑)。
三瓶:
それを聞いて安心しました。
吉岡:
やっぱり集中すると体力を使いますよね。
――記念すべき対談ということで、お互いに聞いてみたいことがあればぜひ。
三瓶:
聞いてみたいこと……オフの日は何をして過ごしているんですか?
吉岡:
オフはあんまりないんですが……ずっと食べてみたかったハンバーガーを食べに行くとか、あとは散歩ですね。
コーヒーを買って歩いて行ったことのない公園に行ってみたりします。
三瓶:
車も使いますか?
吉岡:
使います。
だいたい家族単位で動くんですよ。
三瓶:
家族がいたら絶対車は必要ですよね。
吉岡:
そうですね。
いろんな公園を制覇するのが楽しいんですよ。なるべく緑を浴びてハンバーガーを食べて、あとは行ったことのないカフェに行ったりする。それだけですごくリフレッシュになります。
三瓶:
どちらかというとアウトドアなんですね。
吉岡:
家でだらけるよりは外に出ちゃいますね。
私から三瓶さんに聞いてみたいことと言えば……オフの日は何を……?(笑)
三瓶:
うちも公園によく行きます。
あと、最近は子どもが大きくなってきたので、キャンプデビューをしたんですよ。旦那さんがソロキャンパーで、もともとキャンプが好きだったので家にキャンプ道具はそれなりにあって。知識のない私はただ付いていくだけだったんですが、行ってみたらテントと火しかない、みたいになって(笑)。
吉岡:
奥深さはありますけど、さびしさもありますね(笑)。
三瓶:
そうなんです。
ファミリーキャンプってもっとアイテムが必要なんだとわかり、それからはいろいろ調べてハマり始めました。最近はタープを立てることが趣味で。タープって、屋根を作る布みたいなものなんですが、子どもがいたら絶対日よけとして必要なんです。これなら自分ひとりでも立てられるんじゃないかと思い始めて、日々動画を見て研究をしています。
吉岡:
すごい! 憧れます!
三瓶:
ただ、物はすごく増えます(笑)。
――改めて、今回のコラボレーションについて、そして対談の感想をお聞かせください。
吉岡:
今回『プリキュア』シリーズに関わらせていただき、映画では仲間たちと共に歩んだから強くなれる、真の強さについてや前向きさを感じました。
また、三瓶さんからアフレコ現場では仲間たちと支え合っていると聞き、それがそのまま作品の良さになっているんだという発見がありました。役を生きることに対しての裏側を知ることもでき、そのリアルさがあるからこそみんなが『プリキュア』シリーズを好きでいるんだろうなとわかりました。いろいろな役を演じる際にナチュラルに入り込めることに驚きもあり、楽しんでやられていることがすごく素敵で。
今回はこのような対談の機会をいただけて、本当に光栄でした。
三瓶:
こちらこそ!
対談が始まるまでは緊張もありましたが、吉岡さんのお人柄、うそをつけない素直さあふれる雰囲気を感じて、だからこそ数々の歌で描かれる言葉や気持ちがまっすぐにみんなに届くんだと感じることができました。
楽曲についてのお話を聞いて、作品も歌も合わせて楽しんでいただきたいなと思いましたし、私も車でかけて子どもに曲をすり込もうと決意しました(笑)。
『プリキュア』シリーズ20周年という機会にこんな素敵なコラボが実現して個人的にうれしく、きらきらとした出会いになったのではないかと感じています。今後も『プリキュア』といきものがかかりさんでご一緒できる機会があったらうれしいです。私自身は他作品でもいきものがかりさんにお世話になっているので、これからもずっとそのご縁が続き、またすごい再会があったらと思います。
ぜひ皆さんもこれからも「うれしくて」「ときめき」、そして『プリキュア』シリーズを応援してください。